日本の戦争責任を考える
はじめに
問題の提示1..知らないのは日本人だけ(写真・回覧文書の説明)
問題の提示2.日本の未来に多額の負債 戦争責任に対する意識調査
戦争責任を戦後世代が引き継ぐべきか(NHK世論調査2000年9月)
質問 | 全体 | 戦無派(1959年以降) | 戦後派(1939-58年) | 59年以降 | |
必要なし | 27% | 23% | 27% | 31% | |
引き継ぐべき | 50% | 60% | 52% | 37% | |
責任なし | 5% | 4% | 6% | 5% | |
その他、不明 | 18% | 13% | 14% | 27% |
問題の提示3.戦争責任と個人補償の問題
1.戦争責任とは(解決済み)
・法的な戦争責任:昭和3年の『不戦条約』の成立で発生
・ 国家の戦争責任を解除する方法:戦争責任者のの処罰、領土の割譲、賠償金など
・講和条約で最終的に解決されるのが慣例
2.戦後補償問題とは(現在、係争中)
(1)定義:日本が台湾、朝鮮半島で行なった徴兵や労務者の強制徴用および慰安婦の「強制連行」、中国大陸や東南アジアの占領地における労務者、慰安婦の強制徴用および現地住民に対する戦争犯罪、さらに連合国軍人や一般市民に対する戦争犯罪で補償を要求されている問題。
(2)補償要求の原困:被害者本人は、自国政府が平和条約等で賠償請求権を放棄したか、
二国間協定で日本が賠償を行なつていても、それら社会基盤の整備や現物供与などの経済協力の形で行なわれたため、直接補償を受けていない。
(3)補償と賠償の区別:「賠償」一敗戦国が戦勝国に賠償金を支払うこと
「補償」一般被害者個人が加害国に補償を要望すること。
問題の提示4.世界から見た日本の戦争責任
(1)日本は道義的に欠陥国家のイメージが定着(戦争責任と平和に血を流さず)
日本の反論に反論を聞く耳を持たない(米国人・英国人・ドイツ人との体験)
(2)日本に及ぼす影響→21西紀に戦争犯罪国家として定着
→自信を喪失「小国日本」として中国への返らざるODAの継続
北朝鮮への経済援助(賠償)の継続
T.外国から見た日本の戦争責任
戦争犯罪の種類 | 主要事象 | 対象国 | 避難度 | |
捕虜虐待 | 高い死亡率 | 英米豪加蘭 | A | |
タイービルマ鉄道 | 英豪 | A | ||
死の行軍(バターン半島) | 米国 | B | ||
空襲パイロットの処刑 | 米国 | C | ||
住民虐殺など | 華僑虐殺・処刑 | シンガポール | C | |
住民餓死(100ー200万) | ベトナム | D | ||
マニラ攻防戦(10万) | フィリピン | C | ||
南京事件(30万) | 中国 | 超A | ||
労務・食料の徴収 | インドネシア | C | ||
船員虐殺 | インド洋10隻・太平洋1隻 (約750-1000名) |
英米蘭ノルウエー | C | |
細菌戦・人体実験 | 731部隊 | 中国 | B | |
女性の性の問題 | 慰安婦 | オランダ | C | |
韓国 | A | |||
労働者の徴収 | 強制連行・過労死 | 韓国 | A |
(1)具体例の説明
@シンガポールの華僑虐殺:協力者名簿の残置
A住民餓死(ベトナム)
Cフィリピン
A.住民の米軍への協力・ゲリラ
B.マニラ10万人虐殺:岩淵三次海軍少将(マニア防衛海軍指揮官)住民虐殺10万
D商船船員虐殺事件(潜水艦事件)左近允尚正(死刑)黛治夫(重労働7年)
Reluctant Allies:German-Japanese Naval Relations in world War II
2.戦争犯罪の実情と非難度
(1)中国の場合(今後とも止まらない)
A.実情と問題点(歴史の改ざんと過大な「白髪三千丈」の被害)
(a)戦争被害の過剰宣伝
・死者:932.5万 負傷者:947万人 行方不明:289万 総計3500万
・経済的直接損失1000億ドル 間接的損失5000億ドルに訂正
The Encyclopedia of Military History(Harper & Row,1977)軍人50万、市民100万
(b)南京事件の例
B.日本に戦争犯罪を追求する理由
(a)外交上の対日カード→→→経済援助の引き出し→→朝貢国家化
→→→尖閣列鳥領有の取引材料
(b)日本の国際政治力の向上阻止→→→日本の小国化→→→中国の地位の向上
(c)国家統合の核・シンボル→→→→国民の啓蒙と国民の不満の回避
(d)人民解放軍の特権維持の材料→→→→人民解放軍の汚職腐敗への批判回避
(e)日米離反策→→→→→→米国内の反日世論の醸成と親中国世諭の醸成
(f)人権問題(天安門事件など)に対する批判の回避
C.参考回覧資料:中国の『初等中学教科書』
『日軍慰安婦内幕』『中国人民抗日戦争記念館』
Rape of Nanking Unit 731 新聞・雑誌・インターネット資料
(2)韓国の場合(日本を必要とすれば止まるが、過ぎれば元の木阿弥)
日本の「小国」化→「徳欠国家日本」化→韓国の大国化
日本に対する優越感保持の材料(過去の歴史の否定)←大国化の自負
韓国のスローガン→「歴史の建て直し」「歴史の再構築」
A.実情と問題点(韓国の国定中学の教科書の記述)
・「(3.1)事件」:「ソウルから45マイル離れた華城郡堤岩里では、日本軍が到着して住民たちに教会に集まるよう命令した。彼らが教会に集まると、日本軍は彼らに機関銃を乱射し35名を虐殺した。……堤岩里近くにあるほかの村も焼かれたが、炎につつままれた家から逃げ出した住民は日本軍の射撃と刃に倒れた。…..焼かれた村が9カ所、その他にも多くの教会が破壊されたという。平壌に住んでいたアメリカ人宣教師ロバーツ牧師によれば、定州では100名を超える韓国人が銃殺されたり殴り殺されたりしたという。…..幼い少女たちも残酷になぐられ、7歳以下の幼い少女ら300余名が殺害されたと知らされた。トウェーン牧師の証言によれば、1歳ほどの子供が背中を銃で撃たれ死んだという。日本軍は死んでいく人々にも背中から銃を浴びせたし、逃げる人は追いかけて帯剣で突き刺して倒した。示威がはじまった後の3ヵ月間に、3万名をこす韓国人が殺されたり負傷させられた」。
事実:植民地時代最大の虐殺:教会で殺害は15歳以上の男子24名
焼かれた家33軒、村内で殺害は男子5名と女子2名
B.日本に戦争犯罪を追求する理由
元日本人であったことの否定(朝鮮王 高宗第4王子 李王垠陸軍中将・梨本宮と結婚)
(a)日本より国際社会で上位にいたいという願望→「徳欠国家日本」の定着化
(b)「猪足」に優等民族が支配された屈辱感←「恨」という執念深い国氏性
文化的に歴史上は先進国であった国としての誇りの近世に於ける逆転
(c)国家続一へのシンボル(元気薬)
(3)イギリス・オランダの場合(根底に黄禍論)
(a)大英帝国から小英帝国にされた恨み
白色人種の誇り、植民地喪失への恨み(オランダも同様)
(b)英国で捕虜間題が生起する背景→→→→→敗北者のひがみ・対日戦勝利の記録なし
人種差別・黄禍論(オーストラリアも同じ)
(c)捕虜の名誉維持(録に戦いもせずに降伏してしまったことへのこだわり)
→→→→→軍人恩給などの獲得への弁明
(4)アメリカの場合(華僑の政治力と経済力)
(a)人道主義・理想主義
(b)米国内の華僑の政治力(納金・選挙対策)
3.日本と各国との賠償および講求権の処理
(1)賠償金の支払い(サンフランシスコ平和条約)
@賠償・請求権の相互放棄:日本の経済状況を考慮し、完全な賠償を否定
ほとんどの連合国は賠償請求権を放棄(冷戦)
東南アジア議国の賠償請求権:日本との二国間の賠償協定を容認
A捕虜に対する補償規定:連合国捕虜への補償を規定
日本は昭和30年に赤十字国際委員会へ45億円を拠出
B中華民国(台湾):「日華平和条約」で自発的に放棄(経済援助)
C中華人民共和国」:「日中共同声明(昭和47年)」の「日華議定書」で最終的に解決 されたことを相互に確認(ODA6兆円を供与)(密約や利権は)
D韓国:「日韓請求権・経済協力協定(昭和40年)」
独立祝賀金として「無償3億ドル」「有償2億ドル」
Eその他の国(講和会議不参加国)
・インド:賠償および請求権を放棄
・ソ連「日ソ共同宣言(昭和31年)、ポーランド(昭和32年)、チェコ(昭和32年)賠償・請求権を放棄
(2)日本の支払った賠償
@中間賠償(昭和22年から24年)
中国、インドネシア、フイリピン、ビルマ、マレーなどアジア
(機械類4万3919台・昭和14年の価格で1億6518万円相当)
A在外資産の処分
日本国および国民が連合国ないに所有していた資産3794億9900万円を賠償へ
B日本の占領地との2国間協定の賠償・準賠償(4809億4000万円)
・2国間協定→ビルマ・フイリピン・インドネシア・ベトナム
・賠償を放棄したラオス・カンボジャとの濁に、平和条約玉4条2項(ユ)1こ.
・問題点:役務や現物供与であった(権力者の介入と日本の政治家の癒着)
・北ベトテム(昭和50年に85億円、昭和51年に統一ベトナムに50億円)
(3)準賠償:法的に「賠償」ではないが、戦後処理的性格の贈与・借款など
@平和条約6条による元連合国捕虜およびその遺族に対する償い金45億円
Aタイ:戦時中購入した物資の精算金として無償供与150億円
Bジャワのオランダ人抑留者に対する見舞金36億円
C日韓講求権・経済協力協定による無償供与1080億円
D華僑虐穀の補償問題に対してマレーシアとシンガポールに29億4000万円
E日本の委任統治領のミクロネシア住民に18億円
Fモンゴルとの友好関係、経済協力促進のために50億円
G日本の軍事行動が欧米諸国の国民や企業に与支た損害:14カ国75億7660万円
(4)個人補償
@「台湾住民である戦没者の遺族等に関する弔慰金等に関する法律(昭和62年)」
台湾人の戦傷者・戦死者の遺族:2万8000人、1人当たり200万円、総額560億円
Aサハリン残留韓国人の家族との再会支援金(昭和63年から合計5億3000万円
B在韓被爆者の日本での治療費を負担
C慰安婦「アジア女性基金(平成7年設立)フイリビン、台湾、韓国285名
1人あたり200万円、総額5億7000万円を「償い金」として支給
4.ドイヅの戦争責任と戦後補償
(1)賠償問題をめぐる日独の差
・平和条約の不存在:戦後、東西ドイツに分離したため平和条約締結せず無賠償
『ロンドン債務協定』(英釆仏ソ)賠償をドイツ統一後の平和条約まで延期
・東ドイヅ:ヒトラー時代の責任を認めず、国家間の賠償も個人間の賠償も無視
・ 西ドイツ:各国との個別条約により戦争状態を終結
・ ユダヤ人や東欧諸国からの強制労働被害者に対する賠償は平和条約がないため最終的に処理できず、個人補償となった。
・売国奴の不在、学者・軍隊の歴史学の研究の存在
(2)ドイツの戦争責任感
@ヴァイツゼヅカー演説(1985年):日本では評価しているが、被害国に謝罪なし、過去 の罪をヒトラーとひと握りのナチ党幹部に押しつけドイツ国民とは関係ないとした。
A戦争責任の極限化:ヴァイツゼヅカー演説からユダヤ人の大虐殺や捕虜殺害なとをナチ親衛隊や特別行動隊として、国防軍は戦争犯罪には縁がないという「神話」が誕生
・戦争犯罪の時効を廃止:廃止したのは「人道に関する罪」に限定
B戦争犯罪の種類(国際軍事裁判所条約6条)
A級:「平和に対する罪」:
B級:「通常の戦争犯罪」戦争法規違反、占額瑠住展や掩虜の殺書、
C級「人道に対する犯罪」一般住民に対する殺人、奴隷化、非人道的行為または政治的・人種的・宗教的迫害
・ドイツの補償の特長:ドイツは「人道に対する罪」の被害者のみに補償
(2)ドイツによる戦後補償 (注1マルクは約60円)
@国内法による補償
『連邦保障法』(1956年):西ドイヅ国内のナチス迫害者本人または遺族に一時金と年金
のちに西欧12カ国に拡大
『連邦返済法』(1957年):ナチ体制下で没収されたユダヤ人所有の企業や商店の返済と損損害賠償の支払い
『苛酷救済給付』(1980年から):『連邦補償法』では充たされないナチス迫害者(ユダヤ人、安楽死犠牲者、兵役拒否者、反社会的分子など)最高5000マルクの一時金
A国家に対する補償(1952年)
・イスラエルと「対独賠償要求ユダヤ人会議」34億5000マルク
・ユーゴスラヴィア、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドのナチスの人体実験の被害着に総額1億2400マルク
Bドイツ企業による補償
・「対独賠償要求ユダヤ人会議」強制労働者などに保証金と援助金7550万マルク
C冷鞍後の補償
(a)ドイヅ・ポーランド和解基金(1991年).
ユダヤ系を含む強制収容所収容者、捕虜等の生存者、ナチスの迫害犠牲者
5億マルクを供出、52万人が受領
最高額3100マルク 平均支給額500マルク、平均500マルク
(b)ドイヅ=チエコ未来基金(1997年)
ナチス迫害者を対象:ドイツ1億4000万マルク、チュコ2500万マルク
生存者7000人に2万5000(7万5000円)から4万7000マルク(13万円〉
(c)「記憶・責任・未来」基金(2000年)
ドイツ政府と企業で100億マルク:ドイツ国内で強制労働者:対象者120万人
支払金額:最高1万5000マルクの一時金
ドイツの補償総額:1999年までに1042億マルク(6兆2520億円)
5.日本の戦争責任を考える要素
(1)戦争責任の現実:欧米の戦争犯罪→「勝てば官軍、負ければ賊軍」
A.米国海軍潜水艦のOperation Reportと指揮官の賞賛
B.『タイムス(1943年2月号)』紙の記事
C.『アトランティック・マンスリー』誌の記事
「われわれは捕虜を容赦なく撃ち殺し、病院を破壊し、救命ボートを機銃掃射し、敵の 民間人を虐待、殺害し、傷ついた敵兵を殺し、まだ息のある者を他の死体とともに穴に 投げ入れ、死体を煮て頭蓋骨をとりわけ、それで置き物を作るとか、他の骨でペーパー ナイフを作るとかした」。
D.太平洋戦争は日本人抹殺戦争
・原爆投下の数日前:ニフドフォード海軍中将の発言
・原爆投下後の米国の世論のデーター
参考文献:ジョン・W・ダワー『人種差別』(TBSブルタニカ1987年)
(2)問題の所在
@法的責任:完全に果たしている
戦犯:死刑920名、無期334名、3099名が有期懲役
Bドイツとの差異:ドイツとは比較できない
ドイツのナチス迫害犠牲者への補償額一覧(1999年1月1日現在)
連邦補償法 | 796億マルク | |
連邦返済法 | 39億3300万マルク | |
補償年金法 | 10億マルク | |
イスラエル及び「対独賠償要求ユダヤ人会議」 | 34億5000万マルク | |
西欧12カ国と東欧四カ国との協定 | 28億マルク | |
その他の給付 | 25億マルク | |
各種「過酷緩和規定」 | 23億マルク | |
総合計 | 1041億8800万マルク | |
6兆2520億円) |
B日本の対外支払い総額
補償・準賠償・請求権 | 6565億9295万円 | |
国外資産の処分 | 3794億9900万円 | |
中間賠償金 | 1億6516万円 | |
合計 | 1兆362億5711万円 | |
中国へのODA | 約6兆円+ |
問題提起:個人賠償に応じる(応じなければ犯罪国家が国際的に定着)
財源:国連分担金とODAの減額(この浮いた分で支払う)
@戦争責任の国内の問題点
日本の戦後補償問題の特徴と背景:
被害国に対する賠償が主体で、個人への補償請求は自国の戦争責任を追及する国内の反体制派が被害者に働きかけ、日本政府や企業を訴えさせている。(冷戦後、顕著化)
→裁判で最終的に勝訴した事例はない。
A最大の問題点(責任者・政治家と外交官)
A.自由党:賠償金→リベートのパターン
中国派:橋本派(橋本:日中友好行事に2回も訪中)野中広務など
ロシア派→鈴木善幸 北朝鮮派→金丸信、竹下登、野中広務
参考推薦図書:重村智計『北朝鮮の外交戦略』(講談社、2000年)
キャプション:「東アジア最大の闇」の正体:コメ支援の実情と拉致問題
利権に群がる自社の族議員」
B.官僚:外務省→国連神話を創造し世界第2の資金提供国
常任理事国にもなれず国連の敵対国のまま半世紀の納金
・謝罪外交を推進(文部省も共犯)→文化・学術交流 反日運動家を招待外交
B学者・ジャーナリズムの問題
御用学者の支配←GHQの新聞検閲係 参考文献:江藤淳『閉ざされた言語空間』
参考回覧資料:朝日新聞」社長の訪中と「人民日報」の報道
(1)歴史教育の問題(戦争史研究の忌避)
(2)左翼学者の日本学術会議の支配(文部省)
(3)国際交流資金の支配(外務省)参考回覧資料「国際交流基金の反日学会支援」
C国民の問題:国民の「事なかれ主義」と謝罪
・無知・無理解→歴史観の不在(水交会・自衛隊の戦史研究者の不在)
A.韓国の対日歴史観:韓国の歴史認識は歴史的溝を「埋める」のではなく、「直させる」
・「楽観許さぬ日韓関係・韓国ゼロ回答では収集困難」妥協→変更(改悪)
B.中国:江沢民の日中友好議員連盟訪中団との会談
「帰国の首相は、歴史の知識がないようだ。教えてやらねば」
おわりに:今後何をなすべきか
@正しい歴史を発信する:英語で書かなければ世界史にならない
・正しい歴史を世界に発信するNPOの設立
嘘を論破するには時間と人力が必要
『世界戦争事典』(文芸春秋、2002年)の功績
A世論喚起→行動を起こす(1人1人の力)
B優秀な自衛官を戦史研究に(出身母体への進言)軍縮が昭和陸海軍を低脳にした。