『日本歴史』没原稿
2004年1月号に、研究者の最近の研究動向に関する「はがき通信」欄(200字)がありますが、その日本歴史学会の編集部から「はがき通信」の依頼を受け、下記の原稿を送付しました。しかし、掲載されませんでした。その後、何ら説明はないのですが、多分、
「イズムに彩られた中国の現在の史書も、中国共産党が崩壊した暁にはソ連邦史のように価値を失い紙くずの山となるのであろうか」の部分が、中国への配慮からか、あるいは日本歴史学会の思想と異なるためなのでしょう。日本の歴史学会の現状を知って頂きたく、没になった「はがき通信」の原稿を掲載します。編集委員は、是非とも江藤淳氏の『閉ざされた言語空間ー占領軍の検閲と戦後日本』(文藝春秋社・文芸文庫)を読んで頂きたいですね。
「はがき」通信
「来年は日露戦争開戦百周年に当たる。そこで日露戦争の世界に与えた影響を、一世紀という視点で書き始めた。しかし、ソ連邦崩壊前の史書とソ連邦が崩壊し、言論の自由が認められた後の史書とでは史実の虚構や反転が多く、ソ連邦時代に書かれた史書を参考として書いた草稿は、大幅に修正しなければならなかった。ということは、イズムに彩られた中国の現在の史書も、中国共産党が崩壊した暁には、ソ連邦史のように価値を失い紙くずの山となるのであろうか」。