軽視された者たちの価値
天皇・皇族の価値
 今回の「想定外」の東日本大震災では左翼から無視され軽視されていた天皇と皇族、暴力装置の自衛隊、邪魔者視されていた米軍が日本の危機を救った。管直人首相が政治の師と仰ぐ松下圭一は、国家を解体し社会主義国家を実現する手段として、「新しい公共」の「地域主権」を唱え、「自治基本法」や「男女共同参画法」などで国家解体を進めて来た。しかし、それに急ブレーキをかけたのが今回の大震災であった。国家あっての地域社会だし、地域社会あっての国家ということがわかったのである。「絆を大切に」「ひとつになろう日本」などといくら叫んでみても、主柱がなければまとまらない。天皇・皇后両陛下が黙って座って被災者の言葉に耳を傾け、一言話すだけで被災者は感激し涙を流して復興を誓った。国難が迫ると天皇が先頭に立ち日本は立ち上がってきた。天皇は日本民族の団結の核であり、切り札である。たった数分の会見で、国民に希望と自信、一体感をもたらせる政治システムを持つ国は世界にはない。

自衛隊の価値
「何でも自衛隊。とりあえず自衛隊」と、菅内閣の失策による「2次災害」の拡大を何とかくい止めているのが自衛隊である。しかし、その指揮官が「改めて法律を調べてみたら、自分が自衛隊の最高指揮官であることが判った」防衛音痴の管直人総理、側近の出戻り副官房長は自衛隊をレーニンの革命用語の「暴力装置」と公言した仙谷由人、また、直接指揮する北澤俊美防衛大臣に至っては旧軍と自衛隊の違いも判らない歴史音痴、自衛隊のクーデターを猜疑し「旧軍のテツを踏むな」とことある毎に訓示している。さらに天皇制打倒、米軍撤退、女性総理の実現を3大政策に掲げ、阪神大震災の時には被災者に「憲法違反の自衛隊から食べ物などは貰わないで、我慢しましょう」とのビラを配布した辻元清美が、災害ボランティア担当総理大臣補佐官とは悲劇を通り越してパロディではないか。



米軍―日米同盟の価値
 米国は大統領が「日米の友情と同盟関係は揺るぎない」との声明を発表し、16日には沖縄の第320特殊戦術飛行隊が、パラシュートで空挺隊員とブルトーザーを仙台空港に空中投下し、がれきの撤去にとりかかり、3時間で大型輸送機C130を着陸させたが、翌日には大型輸送機C17が支援物資を積んでアラスカから到着した。米国はこの救援を「トモダチ作戦」と銘打ち、約1万6000人、航空機113機、原子力空母「ロナルド・レーガン」を含む艦船12隻を展開した。この突出した米国の「トモダチ作戦」が示した日本支援が、周辺の「腹黒国家」に示した抑止力の効果は大きい。15名と犬数匹の救助隊を2週間差し向け、尖閣列島周辺に艦艇を派遣して海上自衛隊に国防と災害派遣に兵力を2分した国、北方領土にミサイルを配備して占領体制を確立し、日米の災害援助作戦に偵察飛行を繰り返す国、小さな国ではあるが172億円(5月12日現在)の義捐金を贈ってくれた国、今次東日本大災害は多くの犠牲者を出したが、この犠牲者たちの霊が「想定外」の有事に備え、いずれの国を真の友人とすべきか、いずれの国と仲良くすべきかを教えてくれたのではないか。(「国民新聞」第19164号から転載)